077018 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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最終話

「結局、二人でお風呂には入りそびれちゃったね。」

揺は嬉しそうに言った。

「何か、嬉しそうじゃない。

勝手にひとりでさっさとシャワー浴びちゃって」

ビョンホンが悔しそうに言った。

「だって・・・

お風呂ってひとりで入ったほうがすっきりしそうじゃない。」

そういうと揺はベッドの上に寝転びクロールのまねをし始めた。

「何やってるの?」

「え・・・ダイエット。ほら、二の腕痩せないかと思って。」

「そんなことじゃ痩せないよ。

これ、ダンベル持ってこうやってやるといいと思うよ。」

「へぇ~そうなんだ。ちょっとやってみようかな。」

そういうと揺はベッドに座って

両肘を身体の前で合わせる運動を始めた。

「胸はこうやってやると大きくなるんだって」

「えっ、どうどう?」

「あ、それ、聞いたことある。前やったことあるわ。」

「じゃ、効果ないからガセってことか」

「それ、酷くない」

揺がふてくされて言った。

「やっぱり、胸は直接マッサージしたほうが

早く効果が現れるんじゃないかな。

ほら、ちょっと実験してみようよ。」

「どうやって。」

「えっ、だからさ。右はマッサージして、左はしないの。」

「え~~。びっこになっちゃうじゃない。

いやよ。そんなの。かっこ悪い」

不満たらたらの揺の胸をビョンホンは両手で急に鷲づかみにした。

「何!」

「やっぱりちょっと小さいな。俺の面子にかけて育てないと・・」

そういうとビョンホンは揺を押し倒した。

「人の半分しか育てる時間ないからね。手早く育てないと・・・それに。」

「それに?」

「私、今日話したやりたいこと一通り全部やったら

東京に帰ってまた仕事ちゃんとしようと思うんだけど。」

「ふふふ・・・」

ビョンホンは彼女の胸に口付けながら笑った。

「あれ、驚かないの?」

「今日映画観終わったあとの君の目を見たら

そう言い出すのは時間の問題だと思った。」

ビョンホンは笑いながら言った。

「そうか・・・やっぱ私たち繋がってるんだ。」と嬉しそうな揺。

「じゃ、本当に繋がっちゃおうか」

ビョンホンが揺の耳元でささやいた。

「いやだ~!」

揺は妙に照れてそういうとビョンホンの腕を思いっきり叩いた。

「痛いなぁ~。あ、手跡ついちゃったよ。」

「うそ」

「うそで~す。」

「もう。バカ」

そういうと揺はビョンホンの胸に飛び込んだ。

揺を抱きしめながらビョンホンは想う。

(待たせるのに比べたら待つことなんて全然辛くない。

彼女が俺を見守ってくれるように

俺も彼女と彼女の才能を見守ろう・・・と)

この甘い生活もあと数日。

「今夜は何日分だ・・・」

キスをしながら彼はつぶやいた。

「そうね・・・とりあえず一ヶ月分にしておこうか。

エネルギーが切れたらまた一泊で補充しに来るか・・・

あなたが飛んできて。」

「ああ。じゃ、今日は10日で1個なんてせこいこと言わないで

一日一個だな。

一日・・・二日・・・」

「消えないうちにまた会いにくるから・・・」

揺は愛されながらそうささやいた。

(次の映画のクランクイン前に会えるだろうか・・・。

会えなければ会いに行けばいい)

ビョンホンはそう心の中でつぶやいた。

「ビョンホンssi・・」

「何?」

「映画も写真もしばらく撮らない?」

「どうして?」

「私もあなたに印残しておきたいんだけど・・・」

揺はちょっと恥ずかしそうに言った。

「撮らないとは言い切れないからな・・あ、ここなら大丈夫。」

ビョンホンはそういうとお尻を突き出した。

「え~。そこ~」

難色を示す揺。

「え、いやだ?」

「いやじゃないけど・・・何だか硬そうな気がする。

あ・・・どこも同じだ」

揺はビョンホンの身体中を叩きながら言った。

「柔らかいところ・・ここしかないじゃない」

揺はそういうとビョンホンの唇を奪った。

いつになく熱くゆっくりと・・・

「痛っ!」

ビョンホンが小声で叫んだ。

彼の唇にはうっすらと血がにじんでいた。

「お前、痛いよ。口内炎になっちゃうじゃん。」

「いいんじゃない。チゲ食べる度にしみると私のこと思い出すでしょ。

お尻にキスマークつけたって見えなくて意味ないもの」

揺はそういって悪戯っぽく笑った。

「全く・・・君って人は・・」

ビョンホンは呆れたようにそういうと揺を抱きしめた。

そんな彼女が愛おしくてたまらなかった。

「何日までいったのか忘れちゃったからまた一からだ。

一日・・・二日・・・」

すべてが柔らかい彼女を抱きしめながら彼は幸せに浸っていた。




「やり残したことは

あなたの作ったキムチチャーハンを食べられなかったことと

お風呂に一緒に入らなかったこと・・・くらいかしら。」

揺はそういうとニタッと笑った。

「全くなんでそんなに一緒に入りたくないの?

もう君の身体の全部観つくしてるのに。」

「え・・・そりゃそうよね。でも何となく嫌なんだもん。」

「変なの。」

ビョンホンはそういうとケラケラと笑った。

「じゃ、今度来たときは・・・入ろうか。一緒に。」

彼女はつかんでいたビョンホンの腕を

恥ずかしさを隠すようにぱっと離して彼から離れると

にっこり笑って振り向いた。

「ああ。じゃ楽しみにしてるよ。」

「うん」頷く揺。

「じゃあ、行くね」

「仕事、がんばれよ。」

「うん。うん。」

「身体に気をつけろよ」

「うん。うん。うん。・・・だめだ。帰りたくなくなっちゃった。」

「揺・・」

「ビョンホンssi・・・」

ひぐらしの鳴き声が聞こえる夕暮れの庭で

揺はいたたまれず彼の胸に飛び込んだ。

揺の涙はビョンホンのシャツをぬらしていた。

「自分で決めたことなのにやっぱり私はバカかもしれない」

「ああ。大バカ者だよ。でもそんな揺が大好きだから行っておいで。」

「うん。・・・」

頷く揺の顎を上に向けるとビョンホンは優しく彼女にキスをした。

二人の耳にはヒグラシの鳴き声が聞こえる。

そしてふたりはお互いの懐かしく優しい香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

そして見つめあう。

「今度会うときは今よりもっといい女になって帰ってこいよ。

それが手放す条件だ。」

ビョンホンが真面目な顔で言った。

「今度会うときは今よりもっといい男になってろよ。

それが帰ってくる条件だ。」

揺がビョンホンの口調をまねて言った。

顔を見合わせて二人はゲラゲラと笑った。

「じゃあ、今度は本当に行くね。また・・・あとでね」

「ああ。またあとでな。」

揺を乗せた車が見えなくなるまでビョンホンはずっと手を振っていた。

「もっといい男か・・・これ以上あいつは何を望んでるんだよ。」

ビョンホンは苦笑しながらそうつぶやくと

もう暮れかかった空を見上げた。

細い蒼い月が綺麗だった。

「新月か・・・

俺と一緒にいる時は新月で東京に行くと満月なんて・・・

あいつらしいな。・・・タリ、タリ、ねえ散歩行かない?」

ビョンホンは走って犬小屋に向かった。


    to be continued ・・・・・・





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